*Ensembre"AMADEUS"Tama +++ 曲目解説(室内楽) +++

ピアノ四重奏曲第1番 ト短調 K.478

 モーツァルトはピアノ三重奏曲を7曲のこしていますが、四重奏曲はこの曲の他変ホ長調のK.493の2曲しか書きませんでした。当時ピアノ三重奏曲は バロック時代のトリオ・ソナタから派生して、すでにハイドンが作品を残していたのに対して、ピアノ四重奏はいわばまったく新しいジャンルの曲といえるものでした。そして1785年から86年にかけて作曲されたこの2曲は、18世紀のこのジャンルの頂点をなす作品と言えます。  当時のモーツァルトはザルツブルグの大司教のもとをはなれ音楽の都ウィーンにおいてのびのびと音楽活動をしており、クラヴィーア奏者として腕前を披露するためアカデミー(予約演奏会)を開催して自作の数多くのピアノ協奏曲を演奏するだけでなく、多くのピアノを伴う室内楽曲を作り出しています。このピアノ四重奏曲もそんな中で作曲されたもののひとつでしたが、前年に作曲されたピアノと管楽器のための五重奏曲変ホ長調K.452がアカデミーのために作曲されたのに対しウイーンの出版社ホフマイスターから3曲のピアノ四重奏曲の注文を受けて作曲されたのです。しかし、1曲めであるこのK.478が1785年に完成して納品されたとき、あまりにもピアノがソリスティックで、まるでピアノ協奏曲的であることから、楽譜購買層の中心である一般の音楽愛好家に受け入れられず、かなりの不評をうけたようです。それに気分を害したモーツァルトは契約を破棄してのこりの2曲を納品せず、翌年完成した第2番K.493も別の出版社から出版されました。モーツァルト後期の傑作交響曲第40番と同じト短調でかかれた厳粛で、しかもエネルギッシュなこの第1番が名作として広く認められたのは結局モーツァルトの死後になってからのことになります。( 田邉 恭)

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