*Ensembre"AMADEUS"Tama +++ 曲目解説(序曲) +++

セレナーデ「ポストホルン」ニ長調 K.320

 1楽章 アダージョ・マエストーソ〜アレグロ・コン・スピリート
 2楽章 メヌエット アレグレット
 3楽章 コンチェルタンテ アンダンテ・グラツィオーソ
 4楽章 ロンド アレグロ・マ・ノン・トロッポ
 5楽章 アンダンティーノ
 6楽章 メヌエット
 7楽章 フィナーレ プレスト
 第1回から第6回までのアフタヌーンコンサートはモーツァルトの後期六大交響曲(第35番〜第41番、第37番は欠番)を1曲ずつ演奏してまいりました。今年は趣向を変えてモーツァルトのセレナードをお届けいたします。  セレナードというのは、中世イタリアにおいて恋人の家の窓辺で奏でる歌が原型となっています。オペラを見ていると結構(例えば「ドン・ジョヴァンニ」にも)そうしたシーンを見ることが出来ます。しかし、時代が下り、地域を越えて、モーツァルトがザルツブルクで作曲したセレナードは、「外で演奏する」という意味だけがピックアップされ、演奏の目的や編成は違っているのでした。  モーツァルトが1779年、23歳のときにザルツブルクで作曲したこのポストホルン・セレナードは、貴族の祝宴あるいは大学の卒業式で演奏されたと考えられています。もちろん編成も弦楽器に管楽器を含む大編成。ただ本来の編成にはティンパニとチェロは含まれてなかったようです。なぜかというと、演奏者は行進しながら演奏したらしい。だから移動の大変なティンパニや座って演奏するチェロは敬遠され、タイヤの付いたコントラバスが使用されたとか。個人的にはそういう演奏もしてみたいのは山々なのですが、会場の都合もあり(いやそれ以前に演奏の皆に反対されるでしょう)今回はやりません。あしからず。  セレナードの特徴としてはまた、交響的、協奏的、舞曲の楽章といった沢山の楽章から構成されているところにもあります。交響的な部分としては、実際モーツァルト自身によって、1・5・7楽章を取り出し交響曲として出版しているくらいです。対位法を駆使した前後の速い楽章と短調の哀しげな響きを持つゆっくりな中間楽章。このセレナードの中核をなすこれらの楽章は交響曲としても十分に成り立っています。同様にセレナードから交響曲へ編曲された作品としては第35番のハフナー交響曲が有名。  協奏曲的な部分としては3・4楽章。よほどお気に入りだったのかこれも自作を並べた演奏会において、この2つの楽章のみを取り上げ、協奏曲とし演奏しております。フルート、オーボエのかわいらしい音の掛け合いをお楽しみください。  舞曲の楽章は2・6楽章。両楽章とも3拍子の活発なメヌエットになっています。特に6楽章はこのセレナーデの表題ともなったポストホルンが使用されています。  ポストホルンは、ヨーロッパで郵便制度の整った15世紀頃から、郵便馬車の発着時に鳴らされた螺旋(らせん)状をした小型のホルンです。ピングーのパパが勤めている郵便局のマークがまさにこのポストホルンなのですが…、いやいやかえって分からない説明になりましたか。ポストホルンは時代や土地によって音が違うのが特徴で、ザルツブルクで書かれたこの曲はA管(ラの音を基準にしている)の楽器が使われています。現在ではA管のポストホルンというとこの曲くらいしか使わないので、日本には2本しか(しゃれじゃありません)ないようです。  モーツァルトはなぜポストホルンをこの曲に使ったのか諸説あります。卒業式のための曲ということで旅立つ郵便馬車の音に卒業生が地方に帰っていくという象徴を掛けたのだとか、モーツァルトの親しい人が旅たつからだとか、モーツァルトが大司教に愛想をつかしている時期だったのでザルツブルクをおさらばしたいという無意識の現われだとか。ただ、こうした理由付けからひとついえるのは、明るい音楽にもかかわらず、ポストホルンという楽器には「別れ」の象徴となっていることです。皆さんはなぜポストホルンを使用したのだと思いますか。特殊な楽器が使われていることもあり、名曲にもかかわらず全曲を演奏する機会はなかなかないようです。珍しいポストホルンの響きに触れていただくとともに、楽しい音楽にあふれている全7楽章を是非お楽しみください。     (竹野 篤志)

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