*Ensembre"AMADEUS"Tama +++ 曲目解説(交響曲) +++

交響曲第40番 ト短調 K.550

  

 1788年7月25日に完成したこの曲は、モーツァルトの三大交響曲として知られているうちの1曲です。三大交響曲(第39〜41番)についてはいろいろ謎に包まれているいるところがあります。第40番にしても、作曲された日付についてはモーツァルト自身のカタログからはっきりとわかっていますが、その背景や、実際に上演されたかどうか、など未だわかっていないことが少なからずあります。ただひとつだけ上演の手がかりになりそうな事実があります。
 この曲はモーツァルト自身の手によって一度改訂され、クラリネットパートが書き加えられているのです。しかもただ単に付加しただけでなく、初稿でオーボエに与えられていた重要な役割をほとんどクラリネットに与えています。
 1791年の4月16・17日にウィーンで音楽家協会によるチャリティーコンサートが行われました。当日の指揮は宮廷楽長サリエリ(映画「アマデウス」の主人公)、出演者にはモーツァルトの友人でクラリネット奏者のA.シュタドラー(有名なクラリネット5重奏曲の発注者でもあります)の名前もみられます。この演奏会のプログラムには「モーツァルト氏による一大シンフォニー」との記述があります。このことから、このコンサートで少なくとも39番か40番の第2稿が演奏されたのではないかと考えられます。
 このようにミステリアスな交響曲でありますが、本日はクラリネットを加える前のオリジナル(初稿)を演奏いたします。第2稿は、クラリネットが加えられたことによって音の厚みは増えましたが、逆にオーボエでこそ表現できる厳しさ、硬さが失われている気がします。本日はそのオーボエが存分に活躍します。第2稿にない厳しく緊張感のある演奏をお楽しみください。(田邉 恭)《ACvol.1;第1稿》

この曲はモーツァルトの作品の中で数少ない短調の作品です。中でも短調で書かれた交響曲は,この40番と25番の2つだけで,しかもいずれもト短調で書かれているので,それぞれ「大ト短調」「小ト短調」と呼ばれています。「高貴な悲劇美」「疾走する哀しみ」「ギリシア風にたゆとう優美さ」「デモーニッシュ」などなどこの曲に対する形容は枚挙に暇ないですが、それだけ先人にもおおいなる衝撃と感動を与えた曲だといえましょう。たった1小節のヴィオラによる序奏につづいて流れ込むヴァイオリンによる旋律は溜息と比喩される美しさです。第2楽章の物悲しくもドラマティックなメロディ、第3楽章のメヌエットは宮廷舞曲にもかかわらず哀愁をおびています(ポール=モーリアのアレンジしたこの曲の邦題は「悲しみのメヌエット」でしたね)。そしてたたみかけるように駆け抜ける第4楽章。劇的な緊張、暗い憂いがすみずみまで支配していながら、その内面にとても大きなエネルギーを包み込んでいるこの曲は、つきぬけた明るさ、清らかさをもつ第41番「ジュピター」と対極をなす比類なき名曲といえるのではないでしょうか。  個人的にも思い入れの強いこの交響曲、大学卒業の年に最後の演奏会で弾いたメインがこの曲でしたし、当団第1回目の演奏会のメインも第40番(第1稿)でした。そして今日。本日はクラリネットの入った第2稿によるやわらかく厚みのある演奏をお送りします。また思い出に残る演奏ができますように。     (田邉 恭)《ACvol.6;第2稿》

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