交響曲第41番ハ長調 K.551「ジュピター」
この交響曲は1788年(死の3年前)32歳のモーツァルトによって完成された最後の交響曲です。彼は少年期には先に演奏しました「ポントの王ミトリダーテ」序曲のようにイタリア風序曲の形式に近い3つの楽章からなる交響曲を作曲してきました。しかし、モーツァルトの生きた時代はちょうど古典派交響曲の発展期にあたっており、2ヶ月あまりの間に書かれた最後の3曲の交響曲(39番〜41番)はハイドンの晩年の交響曲と ともに古典派交響曲の完成された形を示すに至りました。 さて、モーツァルトの初期の交響曲とこの「ジュピター」 との違いをいくつか述べてみましょう。 一つはイタリア風序曲の影響を受けていた初期と違い、速い曲〜ゆっくりな曲〜メヌエット(舞曲)〜終曲(速い曲) という4つの楽章で成立している点です。 もう一つは主題(テーマ)の旋律の展開が充実し、それにより曲全体が長くなったことです。先の序曲の演奏時間が約5分として、この「ジュピター」は約30分。その少し後の時代の代表的作曲家であるベートーヴェンの有名な交響曲、第9 番「合唱付き」となると、60分を超えるようになります。 主題の展開は、その変奏から主題の旋律がもつリズムやその一部を取り出しての作曲等さまざまな手法をとりますが、「ジュピター」で白眉なのは特に4楽章で、対位法という技法を用いて作曲されていることです。対位法とは主題の旋律に対してそれに応答する別の旋律を重ねていくという、同時に複数の旋律を扱う高度な作曲技法です。本日の演奏ではそれぞれの楽器が別の旋律を重ねながらも全体としてひとつにま とまっている面白さを感じていただければ幸いです。 18世紀末にイギリスの演奏家ザロモンはこの交響曲を当時の最高の交響曲として「ジュピター」(ギリシァ神話の最高神ゼウスの英語標記)と名づけました。1楽章の堂々としたはじまり、2・3楽章の優美さ、4楽章の緻密な構成等はそのネーミングに相応しいのかもしれません。この名称は廃れる事もなく現在までつかわれています。 ところで、貴方でしたら、この交響曲を聴いてどういうネーミングを思いつきますか? もしありましたら、ぜひアンケートにお書きください。(竹野篤志)
| << PREV | NEXT >> |
Ensembre"AMADEUS"Tama